皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。
皆さんは、日々医師として働いていて、「労働者として守ってもらっている」という実感はありますか?
私は臨床医時代は全くそんな実感がなく、「全裸で戦場に放り込まれたようだ」と感じていました。
医師になりたてなのに何の指導もなくいきなり外来を任されたり、先輩に頼まれて先輩の外来をやらされたり、
看護師さんのサポートもなく医師たった一人で外来を回さなくてはいけなかったり、何故か看護師さんのミスを負わされたり、
主治医制で24時間365日呼び出し対応したり、待機当番の先輩に頼まれて代わりに呼び出しに応じたり、
救急外来当直で一睡もしていないのに翌日も通常勤務だったり、2日連続で救急外来当直をさせられたり、
いくら残業・休日出勤しても「時間外労働0時間」と申告することを強要されたり、大学病院ではタダ働きをさせられる「無給医」だったり…。
※ただの愚痴ですみません(笑)。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。「医師のより良い働き方を考える」当ブログが決して無視出来ない案件がひとつ…そう、「医師の働き方改革」です。2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が適用されるんだ[…]
何故、私たちは働かなくてはいけないのか
ところで皆さんは、一体何故、働いているのですか?
日本国憲法には、下記の通り3つの義務が定められています。
- 教育の義務
- 勤労の義務
- 納税の義務
みんながきちんと教育を受けることができれば、世の中に出て働くことができ、働けば稼いだお金から税金を納めることができます。
その税金で国は学校を作り、先生を雇い、教育をする、ということがグルグル回って、国が成立しています。
だから「教育」「勤労」「納税」の3つだけは義務、ということになっているのです。
「働く」ということは個人の生活のためだけでなく、日本という国を支えていくためにとても大切なことです。
医師の「労働基準法」違反が見逃されていた理由とは
- 医師の界隈では「医師は労働者じゃない」という誤った認識が浸透していた
- 医師法の応招義務を盾にすることができた
医師は労働者じゃない!?は本当なのか
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。臨床医として働く皆さんは、「医師の自殺率が高い」ことについて日々実感しているのではないでしょうか。私も臨床医時代は、「一生こんな生活が続くのか。過労死するか過労自殺す[…]
医師の応招義務を深掘りしてみよう!
皆さん、「医師には応招義務があるから、絶対に診療を断ってはいけないよ」ということは聞いたことがあると思います。
この応招義務が、「労働基準法を違反しても許容されてきた理由」であり、「医師の過重労働を助長してきた」と私は考えています。
応招義務については、1948年に制定された「医師法第19条」に記載があります。
(医師法第19条第1項)医師の応招義務
診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
しかし、2019年12月、厚生労働省がこの応招義務について言及していたことをご存知ですか?
現代においては、医師法制定時から医療提供体制が大きく変化していることに加え、勤務医の過重労働が問題となる中で、
医師法上の応招義務の法的性質等について、改めて整理する必要性があること、
また、現代の医療は、個々の医師のみならず医療機関を含む地域の医療提供体制全体で提供されるものという前提に立つと、
医師個人のみならず、医療機関としての対応も含めた整理の必要性があることが指摘されていた。
『応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について』
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf
せっかくの機会ですので、ここでその内容を深掘りして見ていきましょう。
(フキダシに大体の内容をまとめていますので、お急ぎの方はそちらだけでもご確認ください)
1 基本的考え方
(1)診療の求めに対する医師個人の義務(応招義務)と医療機関の責務
医師法第 19 条第1項及び歯科医師法第 19 条第1項に規定する応招義務は、医師又は歯科医師が国に対して負担する公法上の義務であり、医師又は歯科医師の患者に対する私法上の義務ではないこと。
応招義務は、医師法第 19 条第 1 項及び歯科医師法第 19 条第 1 項において、医師又は歯科医師が個人として負担する義務として規定されていること(医師又は歯科医師が勤務医として医療機関に勤務する場合でも、応招義務を負うのは、個人としての医師又は歯科医師であること)。
他方、組織として医療機関が医師・歯科医師を雇用し患者からの診療の求めに対応する場合については、昭和 24 年通知にあるように、医師又は歯科医師個人の応招義務とは別に、医療機関としても、患者からの診療の求めに応じて、必要にして十分な治療を与えることが求められ、正当な理由なく診療を拒んではならないこと。
(2)労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等について
労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等については、使用者と勤務医の労働関係法令上の問題であり、医師法第 19 条第1項及び歯科医師法第 19 条第1項に規定する応招義務の問題ではないこと。
(勤務医が、医療機関の使用者から労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等を受けた場合に、結果として労働基準法等に違反することとなることを理由に医療機関に対して診療等の労務提供を拒否したとしても、医師法第 19 条第1項及び歯科医師法第 19条第1項に規定する応招義務違反にはあたらない。)
(3)診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方
最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)であること。
このほか、医療機関相互の機能分化・連携や医療の高度化・専門化等による医療提供体制の変化や勤務医の勤務環境への配慮の観点から、次に掲げる事項も重要な考慮要素であること。
- 診療を求められたのが、診療時間(医療機関として診療を提供することが予定されている時間)・勤務時間(医師・歯科医師が医療機関において勤務医として診療を提供することが予定されている時間)内であるか、それとも診療時間外・勤務時間外であるか
- 患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係
2 患者を診療しないことが正当化される事例の整理
(1)緊急対応が必要な場合と緊急対応が不要な場合の整理
1(3)の考え方を踏まえ、医療機関の対応として患者を診療しないことが正当化されるか否か、また、医師・歯科医師個人の対応として患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、
緊急対応が必要な場合(病状の深刻な救急患者等)と緊急対応が不要な場合(病状の安定している患者等)に区分した上で整理すると、次のとおりであること。
① 緊急対応が必要な場合(病状の深刻な救急患者等)
ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合
医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の代替可能性)を総合的に勘案しつつ、事実上診療が不可能といえる場合にのみ、診療しないことが正当化される。
イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合
応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の責任に問われることはない(※)。
※ 必要な処置をとった場合においても、医療設備が不十分なことが想定されるため、求められる対応の程度は低い。(例えば、心肺蘇生法等の応急処置の実施等)
※ 診療所等の医療機関へ直接患者が来院した場合、必要な処置を行った上で、救急対応の可能な病院等の医療機関に対応を依頼するのが望ましい。
② 緊急対応が不要な場合(病状の安定している患者等)
ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合
原則として、患者の求めに応じて必要な医療を提供する必要がある。
ただし、緊急対応の必要がある場合に比べて、正当化される場合は、医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の代替可能性)のほか、患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係等も考慮して緩やかに解釈される。
イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合
即座に対応する必要はなく、診療しないことは正当化される。
ただし、時間内の受診依頼、他の診察可能な医療機関の紹介等の対応をとることが望ましい。
(2)個別事例ごとの整理
1(3)の考え方を踏まえ、医療機関の対応として患者を診療しないことが正当化されるか否か、また、医師・歯科医師個人の対応として患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、具体的な事例を念頭に整理すると、次のとおりであること。
なお、次に掲げる場合であっても、緊急対応が必要な場合については、2(1)①の整理により、緊急対応が不要かつ診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合については、2(1)②イの整理による。
① 患者の迷惑行為
診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合(※)には、新たな診療を行わないことが正当化される。
※ 診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等。
② 医療費不払い
以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。
具体的には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。
また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。
③ 入院患者の退院や他の医療機関の紹介・転院等
医学的に入院の継続が必要ない場合には、通院治療等で対応すれば足りるため、退院させることは正当化される。
医療機関相互の機能分化・連携を踏まえ、地域全体で患者ごとに適正な医療を提供する観点から、病状に応じて大学病院等の高度な医療機関から地域の医療機関を紹介、転院を依頼・実施すること等も原則として正当化される。
④ 差別的な取扱い
患者の年齢、性別、人種・国籍、宗教等のみを理由に診療しないことは正当化されない。
ただし、言語が通じない、宗教上の理由等により結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合にはこの限りではない。
このほか、特定の感染症へのり患等合理性の認められない理由のみに基づき診療しないことは正当化されない。
ただし、1類・2類感染症等、制度上、特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない。
⑤ 訪日外国人観光客をはじめとした外国人患者への対応
外国人患者についても、診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場合と同様に判断するのが原則である。
外国人患者については、文化の違い(宗教的な問題で肌を見せられない等)、言語の違い(意思疎通の問題)、(特に外国人観光客について)本国に帰国することで医療を受けることが可能であること等、
日本人患者とは異なる点があるが、これらの点のみをもって診療しないことは正当化されない。
ただし、文化や言語の違い等により、結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合にはこの限りではない。
働く人を守る「労働三法」
さて、ここからは「働く人を守るための法律」について学んでいきましょう。
労働者の権利を守る3つの法律、いわゆる「労働三法」は、いずれも戦後に制定されました。
- 労働基準法
- 労働組合法
- 労働関係調整法
「労働基準法」は有名ですが、「労働組合法」「労働関係調整法」については皆さんもあまりご存知ないのではないでしょうか。
決して医師に無関係ではありませんので、ひとつずつ見ていきましょう。
労働基準法
労働基準法では、中学校を卒業する15歳までは労働者として雇ってはいけない、働かせてはいけないということも決められています。
子どものタレントに関しては映画でも演劇でも子役が必要ですから、特別に働くことが認められています。
(ただし、小学生の場合は、夜8時を超えて働いてはいけない、という仕組みがあります)
そしてこの労働基準法の中には、1週間に40時間までしか働いてはいけない、ということも定められています。
つまり1週間のうち5日間働くとしたら、1日8時間、週40時間までの労働時間を守りなさい、ということです。
36(サブロク)協定
「週40時間を超えて働いてもいい」というのはどんなケースかというと、働いている人の過半数の人たちが入っている労働組合と、会社側が話し合いをして、双方が週40時間を超える残業を認めてもいいということになった場合です。
労働基準法の第36条で、このような残業時間についての協定を結ぶことが認められていることから、これを「36(サブロク)協定」といいます。
労基署などによる2016年の事業場への調査によると、労働時間に関する違反は全業種で21%。病院を含む医療保健業に限ると36%と高かった。協定を結ばずに労基署から是正勧告を受けた大規模病院もあり厚労省は18年2月、協定の自己点検や労働時間の管理の適正化を医療機関に求めた。
全国8379病院に9~10月、点検の実施状況を聞くと、回答した4173病院のうち、393(9%)が「協定を締結しておらず締結の必要もない」と回答。
「残業してもいいよ」となると、それこそ青天井で、いくら残業しても構わない、となったのがこれまでの働き方でしたが、
長時間労働で過労死などの問題が出てきたことから、政府の「働き方改革」では、残業時間について上限を決めました。
1ヶ月間だけだったら例外的に100時間、働いてもいいです。だけど毎月はダメですよ。
2ヶ月、3ヶ月と、何ヶ月にもわたる場合の残業は、平均で月80時間までにしなさいよ、という上限が決められたのです。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。「医師のより良い働き方を考える」当ブログが決して無視出来ない案件がひとつ…そう、「医師の働き方改革」です。2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が適用されるんだ[…]
労働組合法
労働三法の中にある「労働組合法」では、労働組合を作ることが認められています。
しかし最近では、労働組合に入ると組合費を払ったり、労働組合の委員長を選んだり、会社以外の仕事も結構あったりするので、
「面倒くさいなあ、そんなもの入りたくないな」と社員たちが思って労働組合がなかなかできない会社もあります。
かつて西武百貨店からセゾングループという一大グループ企業を作り上げた堤清二氏という経営者がいました。
彼は西武百貨店の社長時代、社員に「労働組合を作りなさい」と言ったそうです。彼が社長になった時、西武百貨店には労働組合がありませんでした。
社員たちは「そんなもの、なんで作らなくちゃいけないんですか」「いや、そんなのなくていいです」と言ったのにも関わらず、労働組合を作らせたのです。
どうしてそんなことをしたのかと聞かれた時、堤清二氏はこう説明しました。
会社の経営者として、デパートで働いているいろいろな社員の働き方は見ています。
しかし、管理職の目はなかなか全員に行き届きません。
だけど、労働組合があり、社員みんなが組合員になっていたら、「今、職場にこんな問題があるんです」ということを提起できます。
そうすると、労働組合として会社側に「こういう問題があります。これを解決してください」と伝えることができます。
つまり労働組合があることによって、会社の中の問題点を指摘する組織ができるということになります。
人間の体に例えると、末梢神経のところに問題があるということを、脳に教える神経の役割です。これが労働組合なんです。
労働組合の役割、ご理解いただけましたでしょうか?
医師ユニオン
<概要> 公式ホームページより抜粋
全国医師ユニオンは、2009年に結成された勤務医の日本で唯一の全国的な労働組合です。
また、個人加盟制であるため、経営者や病院長でない勤務医であれば誰でも入会することが可能な団体です。
日本の医師の労働は異常なものとなっています。
勤務医の4割は過労死ラインを超え、1割は過労死ラインの2倍の時間外労働を担わされています。
このため多くの医師が精神的・肉体的に健康を害してまともに働けなくなり、最悪の場合には過労死に至っています。
しかし、医療現場では労基法は守られずに医師の過重労働は放置されています。
無給医の存在は無権利状態で働かされる医師の象徴と言えるでしょう。
勤務労働実態調査2017によれば、「健康に不安」や「病気がち」と答えた医師は40.1%にも上り、「最近やめたいと思うこと」の問では「いつもあった」と「時々あった」で31.4%、「まれにあった」も含めると59.2%に達します。
90年代の後半までは、医師は労働者ではないと多くの医療機関や勤務医自身が考えていました。
さらに、医師の特殊な勤務形態から、「夜間の時間外労働を労働時間とみなさない」など医療機関が誤った判断や取り決めを行っていました。
しかし、勤務医の過労死裁判や労働問題の裁判が起きる中で、これまで曖昧であった問題や誤った判断に対して司法による明確な判断が下されています。
日本外科学会の調査によれば、「医療事故・インシデント(ヒヤリ・ハット)」について、何が原因と考えるかを聞いたところ、「過労・多忙」が81.3%と断然トップとなっています。
しかし、医師の働き方改革の検討会では、安全性の視点からの議論はほとんど行われず、政策には全く反映されていません。
当面、30時間を超える連続労働は放置され、2024年からの医師の労働時間の上限規制においても28時間の連続労働が許されることになっています。
先進国では安全性の視点から、一般の労働者よりも厳しい規制が医師の労働時間にかけられており、日本でも安全確保の点から、トラック運転手の連続労働は休憩や手待ち時間も含めて13時間(例外でも16時間)と労働基準局が定めています。
今の日本の法律では、たとえ業務命令による過重労働下で医療事故を起こしたとしても事故の責任はミスを犯した医師が問われることになります。
厚労省は過重労働が医療事故の危険性を高めることを重視して、交代制勤務を導入し長時間連続労働を解消すべきです。
EU諸国などでは、勤務医は労働組合を通じて当然の権利を主張し、時には医師がストライキを起こすこともあります。
このため、EUの医師の労働時間の上限は週48時間に抑えられています。
しかし、これまで日本の勤務医は声を上げることがなかったため、勤務医の当然の権利や基本的人権そのものが奪われ、医療自体に大きな歪みを生んでいます。
私たちは法律に基づき、正当な権利を主張し、日本の医療を守るために活動するものです。
私たち全国医師ユニオンは結成されてから、医師の労働に関する本の出版やシンポジウムの開催、勤務医の実態調査などを行い、厚労省への要請を毎年行っています。
また会員の労働相談と援助や過労死裁判の支援なども行っています。
日本では医師が労働組合活動を行うことはなじみがないためにまだ小さな団体ですが、多くの勤務医が加わることで、日本の医師労働がグローバルスタンダードに基づき正常化されることを期待しています。
なお、私たち全国医師ユニオンは、会員の思想信条の自由を尊重するために、政治的中立を守り、特定政党の支持や特定候補者の支持を行うことはありません。
あなたも全国医師ユニオンに入会し、共に力を合わせて、勤務医が健康でやりがいを持って働ける診療環境を作っていきましょう。
日本医療労働組合連合会(医労連)
医労連・日本医療労働組合連合会のホームページ。医労連の紹介、見解・方針等、各種調査結果、行事カレンダーなどを掲載していま…
<概要> 公式ホームページより抜粋
日本医労連(日本医療労働組合連合会)は、病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくっている、日本で唯一の医療の「産業別労働組合(産別)」です。
日本の医療機関の設置主体は、大まかに分けて国・自治体・民間とあり、職員に適用される法律も異なりますが、国の医療制度のもとで、国民の生存と健康の保持に直接関わる事業としての共通性を持ち、事業の収益は、社会保険診療報酬に基本的に規制されています。
したがって、医療労働者の賃金・労働条件についても、産別統一要求をかかげ、産別統一闘争で経営者に迫り、組合のない職場を含む医療労働者全体の労働条件向上につなげるために、日々奮闘しています。
現在、日本医労連は、7全国組合・47都道府県医労連で構成され、約17万人が加入しています。
国立病院・療養所、自治体立病院、日赤病院、厚生連(農協)病院、社会保険病院、労災病院、国家公務員共済連合会病院・公立学校共済組合病院、済生会病院、厚生年金病院などの全国的な病院や、国公立・私立大学の付属病院、民間の病院・診療所、訪問看護ステーション、老人ホーム・保健施設、調剤薬局、重症心身障害児(者)施設・肢体不自由児施設、保育所などの福祉施設も含めて、
設置主体や企業規模の違いをこえて、医療や福祉の職場・関連する事業所ではたらく労働者・労働組合が加入しています。
医労連・日本医療労働組合連合会のホームページ。医労連の紹介、見解・方針等、各種調査結果、行事カレンダーなどを掲載していま…
労働関係調整法
業績不振の会社が人減らしをすることになった場合、労働組合は労働組合員の生活を守らなければならないのですから、経営者と交渉をします。
これを「団体交渉」といい、権利として認められています。会社の経営者は、労働組合との団体交渉を拒むことはできないのです。
交渉が決裂した場合、労働組合は「人員削減、絶対反対」と言ってストライキに入ることがあります。ストライキに入ることも労働者の権利として法律で認められています。
ストライキとは、労働組合として、みんなで仕事をしないというものです。当たり前ですが、給料はもらえません。
自分たちも痛みを伴いながら、あえて会社に打撃を与える、これがストライキというものです。会社は打撃を受けても労働組合に損害賠償を請求することはできないと法律で定められています。
ただし公務員の場合は、ストライキをすると多くの人に迷惑がかかってしまうので、ストライキは認められていません。
ストライキをしても会社側と労働組合との話し合いが泥沼になってしまって、何にも決まらない状況になった時は、客観的な第三者が入ってきて、会社側と労働組合の両方の話を聞いて、解決策を提案することができます。
これを定めたのが「労働関係調整法」です。
まとめ 「働き方改革」は医師を守ることができるのか
医療機関は、これまで労働基準法を違反してまで医師を働かせてきました。
その盾となったのが、医療機関の「医師は労働者ではない」という誤った認識と、応招義務でした。
しかし、働き方改革では「雇用されている限り医師も労働者であり、労働基準法が適用される対象である」ことが明言されました。
これにより、「労働三法」が、医師にも適用されることになります。
しかし、「医師の働き方改革」の内容を見ると、異常な時間外労働が許容され、医師を守る体制としては、日本は他の先進国に全く及ばないと言えるでしょう。
ブラック労働大国日本。
先進国と肩を並べられるような労働体制を整えられるようになるのは、一体いつになるのでしょうか…。
では、また!