【医師の働き方改革】医師なら絶対に知っておきたい!厳選ポイントを紹介

  • 2023年5月1日
  • 2023年9月20日
  • 勉強

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

「医師のより良い働き方を考える」当ブログが決して無視出来ない案件がひとつ…

そう、「医師の働き方改革」です。

2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が適用されるんだよね。
更紗
大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から既にスタートしていますが、医師は5年間の猶予を設けられていました

当ブログ開設当初から「取り上げるべきテーマ」として認識していましたが、

自分の臨床医時代の辛い経験を嫌でも思い出してしまうため、敢えて後回しにしていました…。

しかし、医師の働き方改革スタートまで残すところあと一年。

皆さんの関心も高いと思いますので、このタイミングで分かりやすいまとめ記事を書きました!

この記事を読むことで、「今さら『働き方改革って何?』なんて聞けない…」という働き方改革初心者の方でも、人に説明出来るようになると思います。

是非ご一読ください!

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働き方改革の概要

まずは働き方改革全般の概要をおさらいしていきましょう。

ここでは厚生労働省のホームページを参考にしていきます。

「働き方改革」の実現に向けてについて紹介しています。…

「働き方改革」の目指すもの

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、(中略)就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

みんな様々な事情を抱えているからね。多様な働き方が認められるようになったら、きっとみんな助かるよ!

働き方改革の具体的な施策

では、具体的にどのような施策が行われたのでしょうか。
  1. 長時間労働の是正:時間外労働の上限規制の導入、一定日数の年次有給休暇の確実な取得 など
  2. 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保:同一労働同一賃金 など
  3. 柔軟な働き方がしやすい環境整備:テレワーク、副業・兼業 など
  4. ダイバーシティの推進:病気の治療と仕事の両立、女性が活躍できる環境整備、高齢者の就業支援、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進、外国人材の受入れ、若者が活躍しやすい環境整備
  5. 賃金引き上げ、労働生産性向上
  6. 再就職支援、人材育成
  7. ハラスメント防止対策
更紗
①~④あたりは臨床医の皆さんもよく耳にしているのではないでしょうか。

私は2019年4月から大企業の専属産業医として入職しました。ちょうど大企業で働き方改革が導入された時期です。

医療現場ではなく、一般企業での働き方改革の推進状況を見てきたわけですが、

①長時間労働の是正は数字の指標なので分かりやすく、特に問題なく取り組んでいました。

更紗
うちの事業所では、①出勤・退勤時に社員証のICを読み込ませた時間、②パソコンのON・OFF時間、の2通りで社員の労働時間を把握しています。
医師も、そういう客観的指標が必要だよね。
更紗
そうですね、自己申告制ではダメです。私が過去に働いていた病院は自己申告制だったのですが、「時間外労働・休日労働は0時間と申告する」ことを医師に強要していましたからね。
「何としてでも医師を安く働かせたい!」という執念を感じるね…。

一方、当時うちの事業所では③柔軟な働き方がしやすい環境整備(テレワーク、リモートワーク等)は全く行われておらず、「昭和で時が止まったのかと思うほどアナログな環境」でした(笑)。

コロナ禍になってからやっとデジタル化が推進されましたが、コロナ対策緩和に伴い「一旦デジタル化したものをまたアナログに戻す」ことをしていて呆れています…。

当然業種にもよりますが、一般企業でこれだけ歩みが遅いのですから、医療現場ではなおさら腰が重いことだと思います。

⇓こんな記事もありましたね⇓

日経メディカル

医療・福祉業は主要15業種の中で、インターネットを通じてサーバーやソフトウエア、ストレージを提供するSaaSの導入が最も…

医療・福祉業でのクラウド型サービスの導入は4%にとどまるとのこと。

セキュリティ上の課題もありますし、生身の人間を相手にする以上、両業種ともアナログから完全に逃れることは出来ないですからね。

それでも、デジタル化して働きやすい環境を作る余地がまだまだあると思います。

伸びしろがあるということで、医療機関の運営サイドには是非頑張ってほしいですね!

【医師の働き方改革】まずはこのサイトをチェック!『いきサポ』

では、ここからは【医師の働き方改革】に特化して説明していきます。

皆さん、厚生労働省が運営するサイト『いきサポ』はご存知ですか?

いきいき働く医療機関サポートWeb

『いきサポ』は、『いきいき働く医療機関サポートWeb』の略だそうです。

医師の働き方改革を学ぶなら、このサイトは要チェックです!

下記のような学習教材や、医療機関の取り組み事例が掲載されています。

解説スライド(基礎編)

2023年4月現在、「準備中」の教材が多いのが気になるけど(笑)、今後順次アップされるでしょう。

皆さんの周囲に、同じように働き方改革を学びたい方がいたら、是非ご紹介ください!

【医師の働き方改革】医師は労働者か否か?

医師の働き方改革を論じる上で必ず挙がってくるのが、「医師はそもそも労働者なのか」という議題です。

先に答えを言いますと、雇用されている限り医師も労働者であり、労働基準法が適用されます。

微妙な立ち位置の研修医、大学院生(無給医)も同様です(特殊な事情が無い限り)。

多くの病院では「医師は労働者ではない」という誤った認識で医師を雇用しているため、

私も臨床医時代すっかり洗脳され、過酷なタダ働きに耐えてきました。

今からでも未払い賃金を払って欲しいです(笑)。

更紗
皆さんも臨床医なら分かると思いますが、殆どの病院では労働基準法を遵守していませんよね…。
そんな医療機関が働き方改革を実現するのは、かなりハードル高いだろうね~。

【医師の働き方改革】4大テーマ!宿日直、自己研鑽、時間外労働の上限規制、勤務間インターバル制度

ここからは、下記の4大テーマについて深掘りをしていきます。

  1. 宿日直許可
  2. 自己研鑽
  3. 時間外労働の上限規制
  4. 勤務間インターバル制度

①宿日直許可基準

端的に言うと、「寝当直は労働時間に含まれない」問題です

病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならないとされています。(医療法第16条)

宿直の手待ち時間も、原則は労働時間になります。

しかし、医療機関が労働基準監督署による宿日直許可を受けている場合は、その宿日直に携わる時間は規制の対象となる労働時間には含まれません

ただし、その宿日直中でも通常の勤務時間と同様の業務に従事する時間については、許可の効果が及ばず、労働基準法の適用があります。

本当に寝当直ならそれで構わないのですが、実際は実労働を強いられほぼ寝ていない…なんてことは日常茶飯事ですよね。

でも、だからといって医療機関の管理者が残業代を追加してくれるとは到底思えません。

更紗
救急外来当直を「寝当直」扱いして、当直代を支払わない病院もありますよね。

病院側が「寝当直は労働時間ではないので」と言い訳してしまえば、通常勤務+救急外来当直(表向き寝当直)+通常勤務+救急外来当直(表向き寝当直)…と、無限に医師を働かせることが出来てしまいますね。

これを防ぐために、④勤務間インターバル制度が存在します。こちら後述します!

②自己研鑽

「自己研鑽と言えば、いくらでも若い医師をタダ働きさせられる」問題ですね。

実臨床だけではなく、講義・学会・論文の発表準備や指導も、「自己研鑽なので労働時間には含まれない」と言われ続けてきました。

しかし、使用者の指揮命令下に置かれているものについては労働時間に含まれます。

それなら使用者も、時間や就業内容等、明確な指示を出す必要があるね。

大学病院の医師は、臨床現場での仕事は定時で上がっても、その後深夜まで講義・学会・論文の発表準備や指導をしていますよね。

ここが労働と認められれば、かなりの残業代を貰うことが出来るようになるのではないでしょうか。

③時間外労働の上限規制

法定労働時間は1日8時間、週40時間で、法定休日は週1日です。

でも、これを守れている臨床医はほぼ存在しないですよね(笑)。

やむを得ずこのルールを超える場合には、労働者と医療機関との間で36(サブロク)協定を結ぶ必要があります。

それでも、これまでは労働時間に上限が無く、実質「働かせ放題」だったのですが、

働き方改革により、労働時間に上限が設けられることになりました!

診療に従事する医師は下記の5パターンに分類され、それぞれ年の時間外・休日労働時間の上限が設けられています。

  1. A水準:全ての勤務医に原則的に適用される
  2. 連携B水準:地域医療の確保のため「地域に派遣される場合」に適用される
  3. B水準:地域医療の確保のため「自院内で長時間労働が必要な場合」に適用される
  4. C-1水準:臨床研修医/専攻医の研修のため「長時間労働が必要な場合」に適用される
  5. C-2水準:専攻医を卒業した医師の技能研修のため「長時間労働が必要な場合」に適用される
A水準のみ年960時間(過労死ライン)、その他は全て年1,860時間(過労死ラインの倍)です。
ちなみに、他業種では原則年360時間まで、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間までです。
医師に「死ねええええええ!!!」って言ってるよね?
更紗
よくこの内容で通りましたよね。まあ最初から期待してなかったですが(笑)。
医療機関側の思惑としては、「全ての医師をA水準以外に適用し、あとは隠蔽工作で何とかしよう…」というところでしょうね。
いくら法整備を進めても、医療機関側の過重労働を良しとする体質・隠蔽体質が変わらなければ、医師の働き方は変わりません。
この【医師の働き方改革】が、ただのハリボテにならないことを願います。

④勤務間インターバル制度

最後に、勤務間インターバル制度についてです。

医師は通常勤務→当直→通常勤務と、当直明けも通常勤務に入ることが常であり、

連続36時間勤務なんかは皆さんもよくこなしているのではないでしょうか。

こちら、下記のように提案がされています。

  • 通常の日勤および寝当直→連続勤務15時間まで→9時間のインターバル
  • 寝当直ではない当直(救急外来等)→連続勤務28時間まで→18時間のインターバル

インターバル時間は医師の心身を休める大切な休息時間なのですが、

休息時間中でも呼び出しに応じることが可能である等、いくらでも逃げ道を用意した内容になっています。

呼び出しに応じるなら、インターバル中でも待機手当出してほしいよね。
更紗
インターバル時間中でも「この症例は何としてでも○○先生に診てもらわないと…!」という、現場の切羽詰まった状況も理解出来ますけどね。

【医師の働き方改革】医師の働き方を変えるには途方も無い時間とお金がかかる

【医師の働き方改革】について調べてきましたが、2024年4月にスタートしたとしても医師の働き方は大して変わらないでしょう。

それは、いつまでも古い体制のままである医療現場で働く皆さんなら、同じように感じていただけると思います。

医師の働き方を改善するには、医師の絶対数を増やすことや偏在を無くすこと、医療機関の再編等、まだまだ途方も無い時間とお金がかかります。

しかし、この【医師の働き方改革】は決して無駄ではないと思います。

医師の働き方について議論が始まっただけでも、大きな一歩です。

ですが…今現在働き方に悩んでいる皆さんにお伺いしたいのですが、

いつになるか分からないけれども、いつか、医師の働き方が改善するまで待てますか?

私は「いつか臨床医の働き方が改善するかもしれない、と待っていても時間の無駄だな」と思い、医師8年目で専属産業医に転職しました。

転職したおかげで、子どもを2人授かり、豊かな家族の時間を過ごせるようになりました。

私は待たないで良かったです。自分と家族の人生の時間を無駄にしないで済んだので。

皆さんも、ご自分の人生の優先順位を見極めて、適切な選択をしていただきたいと思います。

皆さんがどのような道を選んだとしても、皆さんとそのご家族が幸せになることを願っています!

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