【21 Lessons】「人間の医師」が「AI医師」に取って代わられる?医師が働きたくても働けない時代に残る仕事とは

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

皆さんは、知の巨人とも呼ばれるユヴァル・ノア・ハラリ氏をご存知でしょうか?彼はイスラエルの歴史学者・哲学者です。

圧倒的な情報量と分析力で、これまで著作累計世界2000万部を突破するベストセラーを生み出してきました。

例えば、下記三作品の話題は、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

『サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

『ホモ・デウスーテクノロジーとサピエンスの未来』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

『21 Lessonsー21世紀の人類のための21の思考』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

これらはバラバラの作品ではなく三部作といわれており、それぞれ下記のような内容が書かれています。

  1. サピエンス全史:人類の過去
  2. ホモ・デウス:人類の未来
  3. 21 Lessons:人類の現在
三部作を全部読んだら、人類史を網羅することができるというわけだね!
更紗
言うのは簡単なんですけど…ここで大きな壁が立ちはだかります。

ハラリ氏の著作はあまりにも内容が難しく、大抵の方は「おかしいな…日本語のはずなのに理解できない」という事態に陥ることになります。

私は最初、『中田敦彦のYouTube大学』で『サピエンス全史』を知り、とても興味深い内容だったので先述の三部作を購入したのですが、

難しくて読み進めることができず、読了できないままずっと放置していました(笑)。

ですがこの度、気まぐれに『21 Lessons』のページをめくっていたら「医師の仕事はAIに取って代わられる」ということが詳細に記述されていたのです。

当ブログにバッチリ関係する内容だったため、この部分に関してはよく理解することができました。

よって今回の記事では、『21 Lessons』に提示されている「AI時代の医師の働き方」について、かなり簡潔にまとめました。

これを読むことで、皆さんの「AI時代に医師の働き方がどのように変化するのか」、「AI時代でも生き残れる診療科は?」といった疑問に答えが得られるはずです。

是非ご一読ください!

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もし私と同じように「ハラリ氏の著作を買ったけれど読了できない…」という方は、最初に動画で概要をつかんでから書籍を読むと分かりやすいと思います。

↓ オススメの『サピエンス全史』解説動画 ↓

YouTube

サピエンス全史上巻 https://youtu.be/fud4-L2lnqQ中巻 https://youtu.be/vE…

YouTube

サピエンス全史上巻 https://youtu.be/fud4-L2lnqQ中巻 https://youtu.be/vE…

YouTube

サピエンス全史上巻 https://youtu.be/fud4-L2lnqQ中巻 https://youtu.be/vE…

なんと、『サピエンス全史』の漫画バージョンも出版されています!「内容が難しすぎる」という声が大きかったからでしょうね(笑)。

最初に漫画バージョンから入るのもいいですね。

↓ 『サピエンス全史』漫画バージョンは3冊出版されています ↓

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【21 Lessons】人間の能力〜「身体的な能力」と「認知的な能力」

ハラリ氏は、「人間には二種類の能力がある」と仰っています。それは下記の2つです。

<人間が持つ二種類の能力>

  • 身体的な能力
  • 認知的な能力

過去、機械は主に「身体的な能力」の面で人間と競い合い、農業と工業では肉体労働が自動化されてきました。

しかし…今や人工知能(AI)が、人間の「認知的な能力」を凌ぎ始めているのです。

人間がいつまでもしっかりと優位を保ち続けられるような、「身体的な分野」と「認知的な分野」以外の第三の分野を、私たちはまだ知りません。

機械とAIに仕事が奪われる…という懸念は昔から聞いていたけれど、もう現実味を帯びているよね。
更紗
「医師の仕事は奪われない」と思っている方が多いかもしれませんが…実は医師も例外ではないんですよ。
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【21 Lessons】人間にはないAIの能力〜「接続性」と「更新可能性」

ハラリ氏は「AIが持っている、人間とは無縁の能力のうち、とくに重要なものが二つある」と仰っています。それが下記の2つ。

<AIが持つ二つの能力>

  • 接続性
  • 更新可能性

人間は一人ひとり独立した存在なので、当然ですが互いに接続したり、全員を確実に最新状態に更新したりするのは困難です。

そのため、「医師の能力は個人差が大きい」のが現状です。

狭いコミュニティであれば、医師同士の人脈形成・情報共有で「接続性」、積極的な自己研鑽で「更新可能性」に準ずる能力を保持することができそうですけど…AIとは比べものにならないということは言うまでもありません。

新専門医制度は「専門医の質が一定ではない」という問題を解決するために立ち上がりましたが、

もしかしたら近い将来、AIによって半ば強制的に、その問題が解決されるかもしれません。

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【21 Lessons】医師がコンピューターに取って代わられる現実

すなわち、単一の人間の医師の能力と、単一のAI医師の能力を比べたりするのは間違っています。

人間の個人の集団の能力と、統合ネットワークの能力とを比べるべきなのです。

もし世界保健機関(WHO)が新しい疾病を認定したり、研究所が新薬を開発したりしたら、こうした進展を世界中の人間の医師全員に知らせることは不可能に近い。それに対して、たとえ世界中に一〇〇億のAI医師が存在し、それぞれが一人の人間の健康状態をモニターしていたとしても、そのすべてを瞬く間にアップデートでき、それらのAI医師はみな、新しい疾病や薬についての自分のフィードバックを伝え合える。

ーユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons』

ハラリ氏は更に、「このような接続性と更新可能性の潜在的な恩恵はあまりに大きいので、少なくとも一部の職種では、全ての人間をコンピューターに取って代わらせることが理に適っているかもしれないーたとえ個別には、機械よりも腕の良い人間がいくらかいたとしても」とまで仰っています。

ここでいう一部の職種として本書で例を挙げられているのが、運転者、銀行家、弁護士、そして医師なのです。

つまり、「いくらか腕の良い医師がいたとしても、医師全員をコンピューターに取って代わらせる方がいい」と判断されてしまう可能性があるということです。

人間の仕事を守るためだけに、交通や医療のような分野での自動化を妨げるのは愚行だろう。なにしろ、最終的に守るべきなのは、職ではなく人間なのだから。余剰になった運転者や医師は、何か他にすることを見つけるしかない。
ーユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons』
すっごく身も蓋もない!!!(泣)
更紗
今は医師不足が深刻ですが…AIによって医師不足は解消され、その代わり医師が大量に失業する時代がやってくるということですね。

【21 Lessons】「医師が働きたくても働けない時代」に生き残る仕事は

「医師が働きたくても働けない時代」…そんな中でも需要が高いとされているのが、ハラリ氏によると対人ケア産業とのことです。
医師の「医療データ取り込み・分析・診断」という情報処理作業は、速やかにAIの家庭医に取って代わられるでしょう。
一方、看護師に取って代わるような信頼できる看護ロボットが手に入るまでには、まだ何十年もかかると予想されています。
病人・幼児・高齢者などの世話をする対人ケア産業は、ずっと先まで人間の独壇場であり続ける可能性が高い。それどころか、人間の寿命が延び、少子化が進むにつれ、高齢者の介護は人間の雇用市場のうちでも、著しい成長を見せる部門の一つとなるだろう。
ーユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons』
あれ?ということは、医師の中でも手術や手技が多い診療科なら生き残れる可能性あるよね。
更紗
そうですね。逆に、手術も手技も少ない診療科は淘汰されるといえます。これから医師になる人は、その点もよく考えて専門を選ぶべきですね。
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【21 Lessons】淘汰された一般開業医はどこへ行くのか

主に既知の病気を診断し、お馴染みの治療をしている一般開業医は、おそらくAI医師に取って代わられるだろう。だが、まさにそのおかげで、人間の医師や実験助手に革新的な研究をしてもらって、新しい薬や手術法を開発するために、はるかに多くの資金を回すことができる。
ーユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons』
最近まで医療界は、医師不足解消のために「何でも診れる医師を育てよう」という方針でした。
新専門医制度の基本領域にも「総合診療科」があるよね。
しかし、真っ先にAI医師に取って代わられるのが、「何でも診れる」と推奨されてきたはずの一般開業医とのこと。
実際、オンライン医療相談サービス(処方なし)やオンライン診療(処方あり)に流れる患者さんも多くなってきており、
オンラインだと全国どこの医師・クリニックにも相談可能のため、一般開業医の必要数は今後減少していくことが考えられます。
ですが、一般開業医を淘汰して浮いた資金で、研究・開発分野の発展が期待できるとのこと。それは喜ばしいことですね。
更紗
過去記事にも書きましたが、研究・開発分野はAIとの共存が期待できるんですよね。
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まとめ

AIにより、医師の働き方も大きく変わることが予想されているAI時代。

「いくらか腕の良い医師がいたとしても、医師全員をコンピューターに取って代わらせる方がいい」と判断されてしまう可能性がある…というのはかなり衝撃的でしたね。

ですが確かに、現在の医療現場において、患者さんの予後は「医師個人の能力に容易に左右される」のが実情です。

もちろんチーム制にすることで、判断のばらつきを阻止している現場もあるとは思いますが、

実際はチームの若手医師に病棟管理を丸投げして、上級医たちはバイトに勤しむパターンが多いのではないでしょうか。(経験あり)

それならば、やはり医師の仕事が「AI医師」に取って代わられるというのも、患者さんにとっては悪くないことなのかもしれません。

私は医師という職業が消失するとは思いませんが、大半の業務内容やいくつかの診療科は消失すると考えています。

皆さんも、「今自分がしている仕事は、10年後も20年後も残っているだろうか」とよく考えてみてください。

「もしかしたら淘汰されてしまうかも…」という場合でも決して悲観的にならず、

AIの発展から目を背けず、自分ができることを前向きに探していきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ご興味がある方は、是非ハラリ氏の書籍もご覧くださいね〜。

『サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

『ホモ・デウスーテクノロジーとサピエンスの未来』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

『21 Lessonsー21世紀の人類のための21の思考』(著:ユヴァル・ノア・ハラリ、訳:柴田裕之、発行:河出書房新社)

『サピエンス全史』漫画バージョンは3冊出版されています。

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