【専門医資格の選び方①】臨床系専門医(新専門医制度)

  • 2021年9月12日
  • 2024年10月19日
  • 資格

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

今回は、「専門医資格の選び方シリーズ」の第1回目、臨床系専門医についてです。

本当は「単純に好きなところを選びなよ!」と言いたいのですが、私の周りには「この専門を選んで後悔している」という医師がいっぱいいます(笑)。

一度研修を始めてしまうと、軌道修正が容易ではないことが殆どで、大きなロスタイムになりますので、

勢いや直感で選ぶのではなく、事前にじっくり吟味することをオススメします。

この記事は、これから専門医資格の取得を目指す皆さんが、自分の理想の専門を選べるようにと思い書きました。

是非ご一読ください。

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【新専門医制度】概要を知ろう

皆さんご存知の通り、これから専門医資格の取得を目指す方は新専門医制度の対象です。

新専門医制度とは?
これまでは、各学会が独自のプログラムで医師に専門医資格を与えていましたが、専門医の質が一定ではないという問題がありました。新専門医制度は 「専門医資格の認定基準を統一し、専門医の質を高める」 という目的の元、第三者機関である日本専門医機構によって運用されます。 2018年に初期臨床研修を修了した医師から対象となります。

これにより専門医資格の取得・更新の要件が大きく変わりました。

スタートはしたものの、未整備で不確定な要素が多く、今後も様々な変更があることが予想されます。

必ず日本専門医機構のホームページで最新情報をチェックするようにしてください。

一般社団法人 日本専門医機構一般社団法人 日本専門医機構 (jmsb.or.jp)

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【新専門医制度】専門の選び方 まずは基本領域のみでOK

臨床系専門医は2段階(19の基本領域+サブスペシャルティ領域)から成っています。

サブスペシャルティ領域についてはまだ議論の最中のため、この記事では触れません。

今回は、基本領域の中から一つ選んでみましょう。

  1. 内科 
  2. 小児科 
  3. 皮膚科 
  4. 精神科 
  5. 外科 
  6. 整形外科 
  7. 産婦人科 
  8. 眼科 
  9. 耳鼻咽喉科 
  10. 泌尿器科 
  11. 脳神経外科 
  12. 放射線科 
  13. 麻酔科 
  14. 臨床検査 
  15. 救急科 
  16. 形成外科 
  17. リハビリテーション科 
  18. 病理 
  19. 総合診療科 

どうですか、選ぶことが出来ましたか?

「自分には心に決めた専門科がある」という方は、是非信念を貫いてください。応援しています!

しかし、皆さんの中には「いっぱいあって、よく分からない・・・」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

↓ ここで、私の独断と偏見で、19の基本領域を大まかに分類してみました ↓

新専門医制度基本領域の分類

「救急科は内科系でも外科系でもない!」

「麻酔科は手術しないけど外科系なの?」

といったご意見が多々あるかと思いますが、内科系か外科系かという点については、活動領域が手術室か否かでこのように分類させていただきました。

こちらの便宜上のことなので、ご了承ください。

さて、まず大まかに「内科系か、外科系か」を決めていきますが、

手術・手技が得意で大好き!と言い切れる人は外科系そうでない人は内科系にしておくのが無難です。

何年経っても苦手なものは得意にはならないし、嫌いなものを好きになることはありません(多少の例外があることは承知していますが)。

憧れで外科系を選んでから、「不器用で役に立たない」「手術がそもそも嫌い」だと気付いてしまっては、その科での将来は閉ざされます。

憧れではなく現実(自分の適性)をしっかり見ましょう。

その上で「外科系で大丈夫!」という方は、その中から更に細かく選んでいきましょう。

A. 体力に自信のある体育会系の人→外科・整形外科(緊急手術が多い、長時間手術が多い、重い体を扱うことが多いなど)

B. 体力は普通だが手先が器用な人→皮膚科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・脳神経外科・形成外科・麻酔科(待機手術が多い、短時間手術が多い、頭頚部などの細かい手術が多いなど)

大分絞れてきたでしょうか。

もちろん例外もあるので一概には言えませんが、大体の目安として見ていただければと思います。

ここで、内科系を選んだ方も、もう少し細かく選んでいきましょう。

C. 手技は少なめがいい人→精神科、放射線科(診断科)、臨床検査、リハビリテーション科、病理

D. 手技も身に付けたい人→内科、小児科、放射線科(治療科)、総合診療科、救急科

あとは下記のような要素を加味して一つだけ選びましょう。

  • 強い興味がある
  • QOLの高さ
  • 専攻医の研修期間(3-5年と幅あり)
  • 尊敬出来る先生がいる
  • 友人と同じ科
  • いずれのライフステージでも潰しがきくかどうか(妊娠・出産・育児、加齢による体力・視力・巧緻性・判断力の低下など)
  • 開業のしやすさ、フリーランスへの転向のしやすさ

一つの科に絞れたら、その学会ホームページに飛び(総合診療科は日本専門医機構のホームページ)、

新専門医制度の整備指針、研修プログラム整備基準、各病院の専門研修プログラム(○○病院△△科専門研修プログラム)等をよく確認しましょう。

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【新専門医制度】臨床系専門医資格 取るべきか否か

私の答えは、「取るべき」です。

新専門医制度は、導入前から「医師の自由な働き方を制限するものだ」と反発が大きかったですね。

例えば、研修プログラムの要件が厳しく、研修先の選択肢が少ない(都市部の大病院で研修を受けざるを得ない)とか、

フリーランスが多い麻酔科は資格更新の要件が変更になり、「週3日以上の同一施設での勤務が義務化」されるなどしました。

ですが、これら不自由な現実があろうとも、今現在「一生臨床医として生きていく」つもりがあるのなら、専門医資格は取得・更新しておいた方が良いと思います。

「専門医しかやってはいけない仕事」等は無いのですが、臨床医としての自分のアイデンティティになりますし、一般的によく知られている資格のため、患者さんの信頼度に関わってきます。

さらに、専門医を取っておけば将来の選択肢が広がります。別の病院に就職する、開業する、フリーランスに転向する、いずれにおいても有利に働きます。

専属産業医に転職した私でさえ、「7年半臨床を頑張ってきて本当に良かった」と思っていますので、皆さんには是非専門医資格を取得してほしいと思います。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

専門医資格を取得するまでは非常に大変だと思いますが、何もかも諦めなければならないわけではありません。

「住みたい地域で研修先を選ぶ」「女性の妊娠・出産・育児に寛容な研修先を選ぶ」「親しい友人と同じ研修先を選ぶ」等、

少しでも自分の人生が豊かになるような研修プログラムを選んでみてください。

そして、皆さんがしっかり研修を終え、専門医資格を取得することを心から願っています。

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