【医師の資格】取捨選択してますか?医師2人の事例を紹介  

  • 2024年1月18日
  • 2024年1月19日
  • 資格

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

今日は「医師の資格の取捨選択」について書いていこうと思います。

医師であれば、医師免許の他にも自分の専門性に合わせた資格を取得するのが一般的ですが、皆さんはいくつお持ちですか?

医師は、資格集めが趣味の人が多いよね。
更紗
医師ってやっぱり勉強好きなんですよね。
ところで…それらは本当にあなたに必要な資格ですか?
「大して必要ない資格」に、無駄なお金・時間・労力を費やしていないでしょうか。
怖がらせないでよ〜!ホラー映画みたい…。
更紗
まあまあ(笑)、皆さんにとって有益な内容だと思うので、一緒に考えてみてください!
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気付いていますか?資格を持つことのコスト

皆さんご存知だとは思いますが、資格を取得・維持するのにはかなりのお金・時間・労力を費やす必要があります。
例えば、下記のようなものです。
<お金の負担>
  • 資格取得費(試験料、審査料、認定料など)
  • 学会年会費
  • 学術大会参加費・発表費・交通費・宿泊費・交際費
  • 資格更新費(試験料、審査料、認定料など)

<時間・労力の負担>

  • 症例件数を集める
  • 症例レポートを作成する
  • 資格取得のための試験勉強・受験
  • 資格取得のための書類用意・事務手続き
  • 学術大会参加実績を積み上げる
  • 学術大会発表実績を積み上げる
  • 論文実績を積み上げる
  • 資格更新のための書類用意・事務手続き
更紗
自分で書いておきながらめまいがしてきました。

下手をすると、各資格毎にこれらのお金・時間・労力をかけなければならないのですから、その負担は個人にとっては莫大なものになると予測されます。

日々「仕事も家庭も忙しい」、「時間が足りない」と感じている方は、

資格にかかるコストを見直すことが、皆さんの悩みの解決につながるかもしれません。

これから新たな資格を取得しようという人は、取得・維持にかかる負担をしっかり考慮しましょう。

既に複数の資格をお持ちの人は、自分にとって本当に必要な資格なのかどうか、改めて吟味してみてください。

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【資格の取捨選択】資格集めをしていたA先生の場合

ここからは、私の知人の先生お二方(A先生、B先生)の事例を紹介させていただきます。

A先生は、私が大学院生時代に出会った女性の臨床医で、多くの資格を持っていました。

その資格は臨床系・非臨床系を問わずバリエーション豊かで、「私、資格集めが趣味だから!」とご自身で仰るほど。

「大学病院でもA先生しか取得していない」というレアな資格まで持っていて、当然大学病院では重宝されていました。

A先生はバリバリの臨床医でしたが、私の所属していた産業医学系医局のポストに就かれたので、よくお話を聞かせていただきました。

当時、私は臨床医としてやっていくか、産業医としてやっていくかまだ悩んでいました。
臨床を諦めるのはもったいないと感じていたため、「多少無理してでも、臨床系の専門医資格も取得しておこうかと思っています」とA先生にお話ししたところ、
意外にもA先生の反応は良くなかったのです。A先生は下記のようにお話ししてくださいました。
「資格って、取得するまではいいけど、その後維持するのにものすごいお金・時間・労力がかかるんだよね」
「私もたくさん資格を持っているけど、普段の仕事にほとんど関係ないんだよ」
「手を広げ過ぎて、自分が何を専門にやっていきたいのか、分からなくなった」
A先生は、ここまで資格を取得・維持するのに、相当な努力をしてきたはずです。
A先生は夫婦ともに医師で、子どもは男の子が3人いらっしゃり、その大変さは想像を絶します。
私はA先生のような方を尊敬しています。
けれども、A先生がお話ししてくださった「資格を持ち過ぎることの悩み」が、心に重く響きました。
A先生はその数年後、産業医・労働衛生コンサルタント事務所を開業されました。
事務所を運営していくには、医師免許と労働衛生コンサルタント(保健衛生)さえあれば事足ります。
どちらも、更新が必要のない国家資格です。
私はそのことを、A先生にとっては幸いだと思いました。きっと肩の荷が下りたのではないでしょうか。
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【資格の取捨選択】ほぼ資格を持っていないB先生の場合

一方、ほぼ資格を持っていないB先生との出会いもありました。
それは、私が所属する産業医学系医局の教授です(笑)。意外でしたか?
元は臨床医でありながら、臨床系資格はゼロでした。
「当時の学会のやり方が気に食わなくて」ということだそうですが、それでも教授に就任できたことは凄いことですよね。
それだけ頭が良く・実力があり・人格も素晴らしい先生です。
資格が多い=医師としての能力が高い、というわけではないことがよく分かりました。
しかし、そんなB先生は、「女性医師は、資格をたくさん持っていた方がいい」というご意見を持っていました。
やはり女性医師は、妊娠・出産・育児等で、やむを得ず現場を離脱することがあるからです。
(もちろん、男性医師でもやむを得ない事情がありますけどね。)
離脱後、また働き出すとしたら、どのような働き方をするか分かりません。常勤・非常勤・単発バイト…。
常勤だったら、未資格でも受け入れてもらえると思いますが(総合病院なら他に有資格者がいる可能性が高い)、
非常勤・単発バイトは個人の実力で判断されることが多く、その判断材料となるのがやはり資格です。
柔軟な働き方である非常勤・単発バイトこそ、資格があった方が強みになります。
対極的なA先生とB先生の事例を紹介しましたが、どちらの意見に皆さんの心が響いたでしょうか。
心に響いた方が、皆さんの本心なのかもしれませんよ。
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【資格の取捨選択】私も資格の取捨選択をしました

ちなみに、私が現在保有している資格は下記の6つです。

資格名管理団体更新年数
1医師免許
国家資格
更新不要
2労働衛生コンサルタント(保健衛生)
3社会医学系専門医社会医学系専門医協会の資格
5年毎
4認定内科医日本内科学会の資格
5認定産業医
日本医師会の資格
6健康スポーツ医
  1. 医師免許(国家資格)
  2. 労働衛生コンサルタント(保健衛生)(国家資格)
  3. 社会医学系専門医(社会医学系専門医協会)
  4. 認定内科医(日本内科学会)
  5. 認定産業医(日本医師会)
  6. 健康スポーツ医(日本医師会)

A先生とのエピソードでは「臨床系の専門医資格も取得しようと思う」と話していたのですが、結局やめました。

「臨床医と産業医、どちらの道に進みたいのか」自問自答して、下記のような結論に至ったからです。

「私は臨床に興味がない。臨床医は一日も早く辞めたい」

「自分の理想の暮らしを実現するためには、産業医の道に進むのがベスト」

そうなると、臨床系の専門医資格は私にとって必要ない資格です。「取得したい」と言っていたのは、世間体のためだったと今なら分かります。

①〜③の資格は産業医の仕事に関連があるので、今後も維持していきたいと考えています。

④は唯一の臨床系資格ですが、今後臨床バイトをしないとも限らないので、念のため維持しています。

⑤⑥は、取得はしたけれどもう更新しないと決めている資格です。

産業医になるために取得した⑤認定産業医ですが、5年に一回の更新が必要なのがネックでした。

その後、更新不要の②労働衛生コンサルタント(保健衛生)を取得したので、そちらの資格で産業医を継続することにしました。

また、⑥健康スポーツ医は、下記のような理由で取得しました。

  • 私の所属する医局が呼吸器リハビリテーションも行っていて、身体活動と健康の関係に興味があった
  • 現在勤務している事業所にテニスの実業団があったので、資格が役立つかもしれないと思った

取得に当たっての講習会は大変勉強になりましたが(余談: 前の席の医師が、講習会中にストロングゼロを飲み始めて驚きました。きっとアルコール依存症ですね)、

この5年間、結局一度も資格が必要になることはありませんでした。

なのでこの度更新なのですが、もう更新せず手放すことにしました。

更紗
このように取捨選択したことで、更新が必要な資格が4つ→2つに減り、大分負担が軽くなりました!

学術大会のWeb参加は永遠に続いてほしい

コロナ禍で一般的になった学術大会のWeb参加。めちゃくちゃ助かっています…!

私はコロナ禍の直前に第一子を出産したので、子連れで学術大会に行ったことはありませんが、

子連れで学術大会なんて、「託児所設置していても無理だろ」と思うほど大変ですよね(笑)。

更紗
Web参加がなければ、私はきっと資格更新条件を満たせず、社会医学系専門医も認定内科医も手放すことになっていたと思います。

現地参加しか認められなかった時代、多忙で、最低限の滞在時間で急いで帰らなければならない医師もとても多かったですよね。

なので、「Web参加したり・後日オンデマンド配信を視聴したりした方がよっぽどしっかり学ぶことができる」という先生もたくさんいらっしゃると思うのです。

無駄に交通費・宿泊費をかける必要もありません。

Web参加のおかげで、私は小さい子どもがいながらも、欠かさず学術大会に参加して勉強したり・資格更新条件を満たすことができています。

本当にありがたいことです。運が良かったと思います。

Web参加は、今後も永遠に継続してほしいですね。マレーシアから参加したいと思います!

まとめ

資格を取得するために努力することはとても素晴らしいと思います。

興味のあることを学ぶ時、「せっかくだから資格を取ろう、仕事になるかもしれないし」という気持ちもすごく良く分かります。

ですが資格を取得・維持するために自分がボロボロになってしまっては本末転倒です。

「自分のお客さん(臨床医であれば患者さん)にとって、喜ばれる資格は何だろう?」という視点があると、本当に必要な資格が自ずと分かってくるのではないでしょうか。

勤務医に必要な資格、開業医に必要な資格、フリーランス医に必要な資格…それぞれ違うと思います。

資格は、あなたを活かすためのツールです。

是非、自分が輝ける資格を見つけてくださいね。