皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。
今回は「専門医資格の選び方シリーズ」の第2回目、社会医学系専門医についてです。
このブログは臨床医を対象にしていますので、社会医学系専門医についてはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
大半の医師は医学部在学中も卒後も、臨床医としてのレールの上を走らされる運命にありますが、
「臨床系以外の専門医」という道があることも是非知っておいてほしいです。
今回の記事は、これから専門医資格の取得を目指す皆さんが、自分の理想の専門を選べるようにと書きました。
是非ご一読ください。
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【社会医学系専門医制度】概要を知ろう
「社会医学ってそもそもどんな分野?」という方のために、社会医学系専門医協会のホームページを参照すると、以下のように記載されています。
「社会医学とは、医学に留まらず、科学全体やさらに経営管理等の人文系にわたる広範な学問体系を応用して理論と実践の両面から保健・医療・福祉・環境とそれらとの社会のあり方を追求する学問」
臨床医学が病める個人へのアプローチを中心とするのに対し、社会医学は実践的な個人へのアプローチを有しながらも、広範な健康レベルを有する集団や社会システムへのアプローチを中心とします。
これまで個々に活動していた非臨床系分野を統合し、新設されたのが社会医学系専門医制度です。
社会医学系専門医制度とは?
新専門医制度と同時期に整備され、2017年からスタートしました。専門医制度という点では同じですが、臨床系専門医は新専門医制度(日本専門医機構)、社会医学系専門医は社会医学系専門医制度(社会医学系専門医協会)と棲み分けをしています。 これまで公衆衛生分野の資格として公衆衛生専門家(日本公衆衛生学会)、産業衛生分野の資格として産業衛生専門医(日本産業衛生学会)等がありましたが、それらは今後サブスペシャルティとしての扱いになるようです。
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【社会医学系専門医制度】専門の選び方 興味や労働条件で選ぼう
専攻医の研修期間は3年となっています。
社会医学系専門医は一択なので、臨床系専門医のように基本領域を選ぶ悩みはありませんが、
専攻医修了後のサブスペシャルティを何にするかは吟味しましょう。
専攻医登録時点で決定している必要があります。
活動領域は多岐に渡り、絞るのは大変難しいのですが、
専攻医研修の実践現場でもある以下4つの内、どこで働きたいと思いますか?
- 行政
- 職域
- 医療現場
- 教育・研究機関
「行政」ならば行政機関等に勤めることになります。保健所の公衆衛生医師、厚生労働省の医系技官のような働き方があるでしょう。一般的に収入はあまり高くありません。活動範囲は多岐に渡り、現在のように感染症流行時はかなり多忙になるでしょう。
「職域」ならば企業等に勤めることになります。産業医のような働き方があるでしょう。一般的に収入は高く、就職先の選択肢が多いです。嘱託産業医・専属産業医・追加で国家資格を取ることで労働衛生コンサルタント事務所を開業する等、柔軟な働き方が出来ます。
「医療現場」ならば病院等に勤めることになります。とはいえ臨床は行わず、組織管理・危機管理・感染制御・情報管理・医療経営等に関わることになるでしょう(稀ですが、病院の専属産業医になる方もいます)。一般的に収入は高いですが、就職先の選択肢はあまり多くないと考えられます(臨床医が兼任でやっていたり、医師以外の専門家に担ってもらうことも多いため)。
「教育・研究機関」ならば大学や研究所等に勤めることになります。教育者・研究者としての働き方があるでしょう。一般的に収入はあまり高くありませんが、医師バイトが許可されていることが多いので経済的に困ることはないでしょう。上記3つに該当しないような分野でも受け入れられやすいと思います。専門家としてメディアに出演する機会はこの中では最も多いでしょう。
どうですか、ピンとくるものがありましたか?
あとは臨床系専門医の場合と同様、以下のような要素を加味して一つだけ選びましょう。
- 強い興味がある
- QOLの高さ(専門分野よりも、就職先によってかなりバラつきがある)
- 尊敬出来る先生がいる
- いずれのライフステージでも潰しがきくかどうか(妊娠・出産・育児、加齢による体力・視力・巧緻性・判断力の低下など)
- 開業のしやすさ、フリーランスへの転向のしやすさ
一つに絞れたら、社会医学系専門医制度の構成学会(8学会)の内、自分の目指す専門分野に該当する鍵となる学会のホームページに飛び、そちらの学会員にもなりましょう。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。今日は「医師の資格の取捨選択」について書いていこうと思います。医師であれば、医師免許の他にも自分の専門性に合わせた資格を取得するのが一般的ですが、皆さんはいくつお持ちですか?[…]
【社会医学系専門医制度】社会医学系専門医資格 取るべきか否か
私の答えは、「臨床系専門医ほどではないが出来れば取るべき」です。
既に、産業衛生専門医の資格取得には社会医学系専門医の資格が必須になっていることもあり、今後他の分野でも同様の流れになることが予想されます。
将来の選択肢を広げるためにも、取得しておいた方が良いでしょう。
非臨床系分野は専門性が対外的に伝わりにくいので、専門医資格は有益だと思います。
私も持っていますが、自分のアイデンティティとして安心感に繋がっていますし、
産業医の場合特に「お小遣い稼ぎのバイト医」も多いため、そういう医師と区別する(自分は専門で産業医をやっていると証明する)上で役立っています。
「臨床医から非臨床医に転向した医師」の中には「もうあまり若くないし、家族もいるし、3年間の研修さえもキツイ」という方もいるでしょう。その場合は無理をしないでよいと思います。
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まとめ
非臨床系医師の多様な働き方を覗いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
私は敷かれたレールの上を漫然と進み、7年半臨床医として働いたものの、臨床に興味が無いことに気付きました。
そして、自分の興味の強かった産業医の道に進みました。
今では自分と家族の理想が全て叶った、豊かな人生を歩んでいます。
働き方に悩んでいる臨床医の皆さんの中には、私と同じように「臨床に興味が無くて悩んでいる」方が少なからずいると思います。
その場合は、「非臨床系の道に進む」ことが解決策になるかもしれません。
是非検討してみてください。
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