皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。
臨床医である皆さんの中には、既に嘱託産業医バイトをしていて、
「専属産業医も面白そうだな~転職しようかな」と思っている方もいるのではないでしょうか。
専属産業医は労働条件が良く、仕事と家庭の両立がしやすいので、転職先としてはかなりオススメです。
多くの企業は「日本医師会認定産業医資格があれば専属産業医として十分」と考えているので、
既に嘱託産業医として働いている方であれば、すぐに就職活動出来ます。
しかしここで、医師だからこそ気になってしまうのが、「高度な専門資格の有無」です。
日本医師会の認定産業医資格は、講習会の出席のみで取得・維持出来るので、
臨床系専門医と比べると見劣りしてしまう感覚を持つ医師は多いと思います。
もちろん、資格の有無と実力は別物です。
それでも、ご自身が「専門家として物足りない」とネガティブな思いを抱いてしまうくらいであれば、
専属産業医に転職後、追加で資格を取得してみてはいかがでしょうか。
今回の記事は、専属産業医になってから追加で資格を取ることを想定して、オススメの資格について書きました。
専属産業医に興味がある方が、追加で資格取得出来ることを知り、転職に前向きになってもらえると嬉しいです。
是非ご一読ください。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。過去記事で「医師バイトをやってみよう」と書きましたが、今回はオススメの医師バイト「嘱託産業医」を紹介します。[sitecard subtitle=関連記事 url=https:/[…]
【専属産業医】オススメの資格3選
私が考える、「専属産業医をやる上でオススメの資格」は次の3つです。(上から順にオススメ)
- 労働衛生コンサルタント(保健衛生):国家資格
- 社会医学系専門医:社会医学系専門医協会の認定資格
- 産業衛生専門医:日本産業衛生学会の認定資格
私は、7年間臨床医をしてから専属産業医に転職しました。
という不純な考えを持っていた私ですが、
それでも上記の内、①労働衛生コンサルタント(保健衛生)と②社会医学系専門医の2つを持っています。
7年間のうち4年間は産業医学系の大学院に在籍していたので、経過措置期間に申請のみで②社会医学系専門医を取得。
大学院卒業後、現在の事業所で専属産業医として丸2年勤務した頃に、①労働衛生コンサルタント(保健衛生)を取得。
運が良かったのもありますが、仕事と家庭を両立しながら、追加で産業医学分野の専門資格を2つも取得することが出来ました。
皆さんにもきっと出来ると思います。
【専属産業医】資格取得のメリット・デメリット
先述したように、資格の有無と実力は別物です。
私が思うに、資格取得をすることは下記のようなメリットがあるからだと思います。
<専属産業医をやる上で、追加で資格取得するメリット>
- 集中して知識を深めることは、その分野で働き続ける上で財産になる
- 専門家としての自信に繋がる
- 他の産業医と交流していく上で名刺替わりになる
- お小遣い稼ぎの産業医バイトと差別化を図れる
- ブランクがあっても復帰しやすい
一方、資格を持つことにはデメリットもあります。
<専属産業医をやる上で、追加で資格取得するデメリット>
- 取得のみならず、維持に時間とお金がかかる場合がある
- 資格を持ち過ぎることで、仕事の本質が見えなくなってしまう
私の先輩の女性医師で、臨床・非臨床問わず多くの資格を取得している方がいたのですが、その方は
「単位稼ぎのための学会参加・年会費等で、維持するだけでかなりの時間・お金・労力が必要」
「こんなに資格を持っていても、ほとんど必要ない」
「手を広げ過ぎて、自分でも何を専門にしたいのか分からなくなった」
と仰っていたのです。
資格取得のために努力してきた先生だからこそ、重みのある言葉だと思います…。
私がオススメした3つの資格についても、「これが無いと専属産業医として働けない」というわけではありませんので、
皆さんにとってメリットがデメリットを上回る場合に、取得を検討していただければと思います。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。今日は「医師の資格の取捨選択」について書いていこうと思います。医師であれば、医師免許の他にも自分の専門性に合わせた資格を取得するのが一般的ですが、皆さんはいくつお持ちですか?[…]
【専属産業医】労働衛生コンサルタント(保健衛生)
専属産業医をやる上で、最もオススメしたい資格が、労働衛生コンサルタント(保健衛生)です。
臨床医として経験を積んできてから専属産業医に転職する方なら、労働衛生コンサルタント(保健衛生)だけでも十分だと思います。
※労働安全コンサルタントや、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)もあるので、混同しないように注意してください。
労働衛生コンサルタント(保健衛生) オススメ理由5選
私が考えるオススメ理由は下記の4つです。
- 試験に合格するだけで取得可能
→「〇年間研修を受け、症例を集め、レポートを書き、指導医に評価してもらって…」等の手間が一切無し! - 医師は筆記試験免除にすることが出来る
→日本医師会の産業医学講習会を修了する必要がある。口述試験対策に集中出来る。 - 国家資格なので、世間一般の信頼が大きい
→「医師免許と合わせて、国家資格ダブル持ち」という無双感が味わえる(?)。開業も出来る。 - 更新の必要なし
→医師免許と同じ。維持するのに時間・お金・労力がかからない。 - 企業側の知名度が高く、転職活動に有利に働くことがある。
→合格者の体験談で、「認定産業医資格のみでは転職サイトから仕事を紹介してもらえなかった。労働衛生コンサルタント(保健衛生)合格後は仕事を紹介してもらえた」ということを聞きました。
特に①試験に合格するだけで取得可能は大きいメリットだと思います。
今の仕事をそのまま続けながら取得することが可能ですからね。
オススメの取得時期は、専属産業医として数年間勤務後
最も無理が無いのが、専属産業医として数年勤務してからの取得だと思います。その理由は次の通り。
- 専属産業医としての通常業務が試験勉強になる
→理解が深まりやすく、効率的に勉強出来る。 - 勤務時間中に勉強時間を確保出来る
→専属産業医は勤務中のスケジュールを自由に組めることが多い。 - プライベートでも勉強時間を確保出来る
→定時で帰宅可能・当直無し・休日出勤無しなので、プライベート時間を安定して確保しやすい。 - 会社から受験費用や交通費が支給される場合がある
→私も会社から「費用、こちらで負担しますよ?」と言われましたが、「落ちたら恥ずかしいのでいいです」と断ってしまいました(汗)。
上記は、就職先の事業所・家庭の事情によって異なることがありますので、あくまで参考としてください。
「勤務時間中に私的な勉強をするな(怒)」というご意見もあるかもしれませんが、私の職場では許可されていました。
産業医の仕事に役立つ内容ですし、やるべき業務を済ませた上での勉強であれば問題ありません。
でも人目にはつかないように気を付けていました。
家庭では第一子が一歳になる頃で、自分の時間がほとんど確保できなかったので、勤務時間中に試験勉強出来たのは本当に有難かったです。
臨床医だったら無理でしたね。
労働衛生コンサルタント(保健衛生)口述試験対策 オススメ書籍2選
と思っていただけたら、まずやっていただきたいのは
「AmazonのKindle Unlimited(月額980円の電子書籍読み放題サービス)に登録して、
『労働衛生コンサルタント』と検索して出てきた対策本を読み漁る」 ことです。
私もそう思っていました。
「筆記試験免除になる人も、筆記試験の内容を理解しておくように」と聞いていたので、私は一番最初に「筆記試験の過去問を解くこと」に取り組みました。
しかし、あまりにも難しく、すぐに手詰まりになりました。
そんな時、偶然見つけたのが、Kindle Unlimitedにあった豊富な対策本でした。
いずれも労働衛生コンサルタント(保健衛生)試験合格者の方々が個人で作成した電子書籍で、仕事の隙間時間にスマホ片手に勉強するのにピッタリ。
合格者の体験談も非常に参考になりました。
そう思ってほとんどの対策本を読み漁った私の、オススメの書籍を2冊ご紹介します。
①労働衛生コンサルタント(保健衛生)口述試験対策 試験までに必ずやっておきたい準備編 第2版(著者:更紗)
自分の書籍で恐縮ですが(汗)、
「資格取得を思い立ったら、一番最初に読んでほしい本」というコンセプトで書きました。
私が試験勉強を始めた当時、対策本として試験直前に使える想定問答集は沢山発行されていたのですが、
その前段階である準備・勉強方法についてまとまった内容の書籍はありませんでした。
最初に正しい準備・勉強方法を知ることは、効率的な試験対策に不可欠です。
「無いなら、自分で作ろう」と、思い切って自分で発行しました。
私はここに書かれている対策のみで一発合格出来ましたが、 もっと情報が欲しい方は、
ブログやnote等で教えている先生もいますので、是非探してみてください。
②労働衛生コンサルタント試験対策問答集2021年度(著者:西脇 巧)
黄色い表紙が目印で、毎年発行されています。
とても詳細な内容で、他の対策本では触れられていない領域も広くカバーしています。
口述試験ではこれくらいの問答は普通に行われます。私は暗記する程読み込みました。
かなりボリュームがありますので、早めに読み始めることをお勧めします。
【専属産業医】社会医学系専門医
という方にオススメなのが、2017年に新設された社会医学系専門医です。
「社会医学系専門医って何?」という方は、下記の記事に詳しく解説してありますので、是非読んでいただきたいです。
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。今回は「専門医資格の選び方シリーズ」の第2回目、社会医学系専門医についてです。このブログは臨床医を対象にしていますので、社会医学系専門医についてはあまり知らないという[…]
臨床系専門医で言うところの、基本領域のような立ち位置の資格ですね。
社会医学を、幅広く、体系的にじっくり学ぶことが出来ます。
研修プログラム整備基準には、
『専門研修の期間は,社会医学分野において概ね週3日以上従事する場合には3年間とし,従事状況に応じて6年間を上限とする』と記載されていますので、
専属産業医として週3日以上勤務していれば、「職域機関」での研修として認められ、3年間で研修を終えられる可能性が高いと思います。
また、専属産業医は研究日が週1~2日与えられることが多いので、研究日に他の分野の研修を受けに行くことも可能でしょう。
とはいえ、お勤めの事業所や研修プログラムによって事情は異なりますし、勤務内容や研修内容の調整をお願いする必要があるでしょう。
興味のある方は、まずは近隣の研修プログラムの内容をチェックし、
職場・研修先に相談してみてください。
【専属産業医】産業衛生専門医
- 最低9単位の実務研修を修了している必要がある。
- 社会医学系専門医は試験免除で産業衛生専攻医登録が可能で、 主分野が産業・環境であった者は申請時に6単位を付与する。
- 産業衛生専攻医が1年間で取得可能な単位上限は3単位までである。
つまり、最短ルートだと、社会医学系専門医を目指すところから数えて4年間で取得可能ということになります。
社会医学系専攻医の研修(3年間)→社会医学系専門医取得→産業衛生専攻医の研修(1年間)→産業衛生専門医取得
とはいえ、学会発表・論文・事例報告等も要件に入ってきますので、詳細は学会ホームページでご確認ください。
日本産業衛生学会専門医制度委員会が開設している専門医制度に関する日本産業衛生学会認定専門医になるまでの過程です。…
まとめ
以上が、私が考える「専属産業医をやる上でオススメの資格」でした。
専属産業医への転職となると、
「今更、専門を変える自信がない」
と、転職に踏み出せない方も多いと思います。
しかし、臨床の専門科を変えるのと比べるとハードルは低く、
産業医学分野は何歳からでも学び始めることが出来ますし、現場で活躍出来ます。
今回紹介したような専門資格を追加で得られることも、安心材料になると思います。
皆さんの人生がより良くなるような転職先の一つに、専属産業医があると嬉しいです。
では、また!
皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。これまで、臨床医がより良い働き方を得るための手段の一つとして転職を勧めてきたこのブログですが、医師転職サイトって沢山あり過ぎて、どれを選べばいいのか分からない…。[…]