【専門医資格の選び方③】臨床研究医(新専門医制度)

  • 2021年9月15日
  • 2024年10月19日
  • 資格

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

今回は「専門医資格の選び方シリーズ」の第3回(最終回)、臨床研究医についてです。

新専門医制度に新設されたばかりのコースのため、情報が少なく先が読めませんが、「将来研究メインでやっていきたい」という臨床医にとっては選択肢の一つになるでしょう。

紛らわしいのですが、「臨床研究専門医」という資格はありませんのでご注意を。

今回の記事は、これから専門医資格の取得を目指す皆さんが、自分の理想の専門を選べるようにと書きました。

是非ご一読ください。

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【新専門医制度〜臨床研究医コース】 概要を知ろう

かつては、医師は医学部卒業後すぐに大学の医局に入局し、臨床をしながら大学院で学位を取得するのが一般的でした。

ところが2004年に現行の臨床研修制度が導入されてからは、医師が自由に自分の研修先を選ぶことが出来るとあって、「医師の大学離れ・研究離れ」が深刻化しました。

研究に興味があり大学院に進学したとしても、大半は無給で大学病院で働かされ(いわゆる無給医)、生活の保障はありません。

そんな現状を鑑み、「医師が安心して臨床研究に携わることが出来るように」新設されたのがこの臨床研究医コースと言えるでしょう。

臨床研究医コースとは?
新専門医制度に新設されたコースで、2022年4月にスタート予定。日本専門医機構が運用します。給与等の身分を保障した上で、 臨床に関わる研究・教育の中心的役割を担う医師を育成することが目的です。

専攻医の方 | 一般社団法人 日本専門医機構一般社団法人 日本専門医機構 (jmsb.or.jp)

研修期間は7年と長期ですが、前半2年は臨床メイン、後半5年は研究メインとなります。

臨床系専門医の資格・学位の両方取得出来ること、給与の保障があることが強みになりそうですが、懸念点もあります。

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【新専門医制度〜臨床研究医コース】懸念点

臨床研究医コースの研修施設は大学に限られ、研修プログラム数もまだ少ないです。

2年間臨床メインで働くとしても、その後5年間研究メインになるのですから、臨床能力は臨床系専門医には劣ることが考えられます。研修修了後はそれなりに年を重ねていますから、若い内に研鑽を積んだ医師に追いつくのも難しいでしょう。

また、従来通り臨床をやりながら大学院にも所属する場合は、在学中の4年で専門医資格も学位も取得出来る場合があるのに対し、臨床研究医コースでは7年かかります。3年の差は大きいですよね。

医師は何だかんだバイトで生計が立てられますし、社会人大学院生の枠もありますので、従来通りの方法でも金銭的に困窮することは無いと思います(もちろん、働きながら研究をするのは大変ですが…)。

そして、一番困るのが「このコースに進んでから自分は研究に向いていないと気付く」ことです。

大学院でお会いした大学院生で、

「臨床に向いておらず、初期臨床研修を終えずに非臨床系の大学院に入ったが、研究にも向いていなかったため、卒後は産業医になることを検討している」

という方がいました。

ちなみに、私が大学院に入ったのは「研究もやってみたい」という興味からでした。当時は「もしかしたら研究に向いているかも…」という淡い期待も持っていました。

が、やってみて「全然向いていない!」と分かりました(笑)。

研究は楽しく、非常に良い経験になりましたが、やはりこの道で大成する人はかなりの天才なんだと思いました。

とはいえ、「将来研究メインでやっていく」と心に決めている人にはメリットがあるのは間違いないでしょう。

研修中は給与の保障がありますし、研修修了後は大学や製薬会社の研究職・海外留学等の道を選ぶことが出来ます。

一般的に大学の研究職は薄給ですが、臨床経験があるのでバイトで稼ぐことが出来ます。

今後の動向に期待ですね。

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まとめ

「専門医資格の選び方シリーズ」を全3回お送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

どの専門を選んでも、専門医資格を取得することは容易ではありませんが、

皆さんが理想の専門を選んで研鑽を積み、将来いきいきと働けることを心から願っています。

陰ながら応援しています!

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