【医師の偏在①】「地域の偏在」現状・対策〜「医師のワーケーション」は救世主となるか⁈

  • 2024年11月1日
  • 2024年11月6日
  • 勉強

皆さんこんにちは、更紗(さらさ)です。

皆さんは、現在「全国に医師が何人いるか」ご存知ですか?

更紗
私が医師になった頃は、ちょうど30万人くらいでしたね。
医師不足が深刻だから、医師数をどんどん増やしているって聞いたことあるけど…正確な医師数はどこで確認すればいいの?

2024年3月19日、厚生労働省は「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計」の結果を公表しました。

この調査結果から、医師数について下記のようなデータを得ることができます。

  • 施設・業務の種別にみた医師数
  • 医療施設に従事する医師数
    1) 性・年齢階級別にみた医師数
    2) 施設の種別にみた医師数
    3) 診療科別にみた医師数
    4) 取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名、麻酔科の標榜資格及び医師少数区域経験認定医師(複数回答)別にみた医師数
    5) 都道府県(従業地)別にみた人口 10 万対医師数

これによると、令和4年 12 月 31 日現在における全国の届出「医師数」は 343,275 人で、前回調査(令和2年)と比べると3,652 人(1.1%)増加しています。

2年間で3,652人も増えたの?それなのに、全然医師不足が解消した印象がないんだけど…。
更紗
この2年間だけではなく、医師数はこれまでずっと右肩上がりに増加してきたんですよ。

皆さんに分かりやすいよう、厚生労働省の公表データを基に「医師届出数の推移」を棒グラフにおこしてみました。

棒グラフをブログに直接貼り付けると画像がガピガピだったので(汗)、お手数ですが下記リンク先でご覧ください!

↓ 「医師届出数の推移」棒グラフ ↓

医師届出数の推移

そう、日本の医療現場…特に地方では、医師数が増え続けているのに、未だに深刻な医師不足に悩まされているのです。

どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

要因として、新専門医制度(例:基幹施設が都市部の大病院や大学病院に偏り、地方の医師不足が深刻化した)や、

医師の働き方改革(例:時間外労働時間の上限規制のため、地方病院でのバイトを取りやめることになった)なども挙げられますが、

その根底には「医師の偏在」が存在しています。

<医師の偏在>

  • 地域の偏在
  • 診療科の偏在

今回はこの「地域の偏在」に着目していきます!

この記事を読めば、「まさに地方で医師不足に悩んでいる」という方も、その現状・最新の対策を把握することができます。

また、地方自治体と民間企業がコラボした「医師のワーケーション」についてもご紹介!

果たして、ワーケーションは医師の「地域の偏在」解消に繋がるのか…是非ご一読ください!

↓ 参考にさせていただいたNHKの記事 ↓

NHKニュース

【NHK】病気になったら病院に行く。そんな当たり前のことが、簡単にはできなくなるかもしれません。全国の医師数は年々、増加…

↓ 参考にさせていただいた厚生労働省の資料 ↓

医師確保対策の概要及び今後の課題・スケジュール等について

【医師の偏在】地域の偏在〜「医師偏在指標」で浮かび上がる「医師多数県」と「医師少数県」

皆さんは「医師偏在指標」をご存知でしょうか?

厚生労働省は、医師の偏在対策に役立てるため、「医師偏在指標」を都道府県ごとと二次医療圏ごとに公表しています。

この指標は、医師の偏在の状況を客観的に示すため、下記のような5つの要素を踏まえた計算式によって導き出されています。

<医師偏在指標で考慮すべき5要素>

  1. 医療需要(ニーズ)及び将来の人口・人口構成の変化
  2. 患者の流出入等
  3. へき地等の地理的条件
  4. 医師の性別・年齢分布
  5. 医師偏在の種別(区域、診療科、入院/外来)
なるほどね。医師数が多くても、そこの地域住民の人口が圧倒的に多ければ「医師多数」とは必ずしも言えないもんね。
更紗
あくまで相対的な状況を考えるための指標です。「この数値を下回ると医師が不足している」のように絶対的な基準ではないことには注意が必要です。

この「医師偏在指標」は、医師の偏在のうち「地域の偏在」を見るのに役立ちます。

皆さんの職場がある都道府県は、「医師多数県」なのか「医師少数県」なのか、気になりますね。

早速、2024年1月公表された「医師偏在指標」から、「医師多数県」「医師中等度県」「医師少数県」を見ていきましょう!

まず、「医師多数県」は医師偏在指標が高い順に下記の通り。

<医師多数県(医師偏在指標)>

  1. 東京都(353.9)
  2. 京都府(326.7)
  3. 福岡県(313.3)
  4. 岡山県(299.6)
  5. 沖縄県(292.1)
  6. 徳島県(289.3)
  7. 大阪府(288.6)
  8. 長崎県(284.0)
  9. 石川県(279.8)
  10. 和歌山県(274.9)
  11. 佐賀県(272.3)
  12. 熊本県(271.0)
  13. 鳥取県(270.4)
  14. 奈良県(268.9)
  15. 高知県(268.2)
  16. 香川県(266.9)
やっぱり東京都はダントツ1位だね。人口が多くても、「東京都で働きたい!」という医師も多いということだね。医師多数県はほとんど西日本が占めているね。
更紗
医師多数県は医師が「飽和状態」「余っている」とも言われるので、転職先として選ぶ際は「自己研鑽上プラスになるかどうか」見極めが大事ですね。

次に、「医師中程度県」は医師偏在指標が高い順に下記の通り。

<医師中程度県(医師偏在指標)>

  1. 兵庫県(266.5)
  2. 島根県(265.1)
  3. 滋賀県(260.4)
  4. 大分県(259.7)
  5. 鹿児島県(254.8)
  6. 広島県(254.2)
  7. 神奈川県(247.5)
  8. 宮城県(247.3)
  9. 福井県(246.8)
  10. 愛媛県(246.4)
  11. 山梨県(240.8)
  12. 愛知県(240.2)
  13. 富山県(238.8)
  14. 北海道(233.8)
  15. 栃木県(230.5)
神奈川県がここに入ってくるの意外じゃない?東京都の次に人口が多い都道府県なのに。
更紗
「人口の増加に医師数の増加が追いついていない」ということでしょうね。

余談ですが、私は「神奈川県への医師転職」について記事を監修させていただいたことがあります!

そこでも神奈川県の医師不足について記載がありました。

↓ 記事監修の体験談はこちら ↓

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最後に、「医師少数県」は医師偏在指標が高い順に下記の通り。

<医師少数県(医師偏在指標)>

  1. 山口県(228.0)
  2. 宮崎県(227.0)
  3. 三重県(225.6)
  4. 岐阜県(221.5)
  5. 長野県(219.9)
  6. 群馬県(219.7)
  7. 千葉県(213.0)
  8. 静岡県(211.8)
  9. 山形県(200.2)
  10. 埼玉県(196.8)
  11. 秋田県(199.4)
  12. 茨城県(193.6)
  13. 福島県(190.5)
  14. 新潟県(184.7)
  15. 青森県(184.3)
  16. 岩手県(182.5)
一応、最も医師不足なのは岩手県ということなんだね…。
更紗
私の友人が岩手県で働いています(苦笑)。でも隣の宮城県(医師中等度県)からの応援もあるはずなので、何とかなるのかな。

私は過去に臨床医として、医師少数県と医師中等度県で働いていたことがあります。

もちろん、少数県=キツイ、多数県=ラクチンなどと単純にはいきません。

同じ都道府県でも、県庁所在地なのか僻地なのか、市中病院なのか大学病院なのか、といったことで医師不足の程度もバラつきがあるからです。

しかし、実際に働いていた身としては、やはり医師少数県での勤務は過酷で、医師中等度県での勤務はかなり余裕を感じられました。

なので、個人的には「医師偏在指標」はその地域での労働環境の良し悪しや、医療崩壊リスクの指標になり得ると思います。

皆さんが現在の働き方に悩んでいて、転職を考えているのだとしたら、

転職先の「医師偏在指標」は必ずチェックしておいた方がよいと言えます。

もっと詳細な地域別の「医師偏在指標」を知りたい方は、都道府県別のみならず二次医療圏別もチェックしてみてくださいね!

↓ NHK公式サイトの「医師偏在マップ」(二次医療圏別)↓

NEWS WEB 全国 医師偏在マップ

このマップは、厚生労働省が2024年1月に公表した二次医療圏ごとの「医師偏在指標」に基づいて作成しています。マップをタッ…

【医師の偏在】地域の偏在〜現在の対策「地域枠」とは?

医師の「地域の偏在」対策としてこれまで行われてきたのが、皆さんご存知、医学部の地域枠制度でした。

地域枠制度は、通常の大学入試とは別枠で入試が行われ、奨学金が付与されることが多いのですが

一方で大学卒業後原則9年間は、特定の地域で勤務する義務が課せられるというもの。

現在、全ての都道府県に枠が設けられ、昨年度の定員は1700人あまりに上るとのことです。

働きたい地域が定まっている人ならメリットしかないだろうけど、医学部在学中の6年間で気持ちが変わらないのかな?
更紗
ここで、この地域枠制度について、私の体験談をご紹介します。

私がうら若き高校3年生だった頃…地元の大学医学部で初の地域枠募集がありました。

私は当時、ほとんど眠らないで勉強しまくったせいでスランプに陥り、受験勉強のストレスもひどかったので、

「地域枠で合格すればセンター試験不要」ということが魅力的に思えて、正直飛びつきたかったんです。

しかし、父の「今後何があるか分からないから、仕事については制約がない方がいい」というアドバイスを受け、申し込みは避けました。

今になってみれば、この選択は正解でした。

医師4年目の時には県外の大学院に進学したわけですからね。

更紗
結局、私の高校からは2名が地域枠に応募し、そのうち1名は合格・1名は不合格でした。

その後私は、センター試験の直前にも関わらず、

「もう勉強するのやめました、これ以上頑張っても空回りなので。医学部落ちたらとりあえず海外旅行に行ってマンガ家になります

という妄言を吐いて、担任の先生に怒られ、親にも告げ口されました(笑)。

でも、そうやって気を抜いてぐっすり眠るようにしたところ、成績がみるみる回復していきました。

その後センター試験を受け、地元大学医学部の推薦入試を受けて、無事に合格。

正直、「ちぇっ。マンガ家になりたかったのに」と残念でした(笑)。

更紗
ちなみに、うちの高校から地域枠に合格した1名は、医学部卒業後奨学金を返済して県外に飛び出していきました。結構怒られたみたいです。
やっぱり、医学部6年間のうちに県外に出たくなっちゃったんだね(笑)。

とはいえ、臨床医として「もっと高度な医療、専門的な医療を学びたい」と考えるのは自然なこと。

地域枠で医学部に入学したものの、私の同期のように奨学金を返済して医学部卒業と同時に、もしくは9年間の義務年限を終えてから大都市に移ってしまう医師もおり、

「その地域に根ざした若手医師を育てる」ということの難しさを痛感しますね。

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【医師の偏在】地域の偏在〜現在の対策「臨床研修医の人数制限」とは?

2004年度に初期臨床研修が必修化したのは皆さんご存知のことと思います。

当時は全国の定数管理・地域別の偏在調整が行われず、募集定員倍率(研修希望者数に対する募集定員数の比率)が1.3倍を超える規模まで拡大しました。

つまり、初期臨床研修医は研修先を選び放題。

研修先を都市部に集中する傾向が続きました。

それまでは、医学部卒業後そのまま母校の大学医局に入局するのが一般的だったけど…
更紗
母校に残らず都市部に出ていく医師が増えたことで、地方の大学医局は「医師を派遣する機能」が弱まり、地方の医療現場はますます苦しい状況におかれることになりました。

そのため、2010年度研修からは各都道府県の募集定員上限を設定し、

2015年度からは募集定員倍率を順次縮小していく対策が打ち出されました。

2025年度には募集定員倍率を1.05倍まで縮小する計画らしいよ。
更紗
「地域の偏在」に対して、各都道府県で受け入れる初期臨床研修医の人数に制限をかけているということですね。人数制限は、「診療科の偏在」でも対策の一つとなっています。

【医師の偏在】地域の偏在〜新しい対策「開業規制」「管理者要件の拡大」とは?

この「地域の偏在」問題に対し、厚生労働省は2024年9月末から専門家を交えた検討会で新たな対策を本格的に協議することになりました。

その新たな対策案が下記の2つ。

<医師の「地域の偏在」対策案>

  • 開業規制:医師が多い地域での新規の開業を抑制する
  • 管理者要件の拡大:医師が少ない地域での勤務を院長など病院の管理者になる要件にする

「地域枠制度」のコンセプト「若手医師を地方に留める」とは違う方面からアプローチしていますね。

つまり、この2つの新案は「ある程度研鑽を積んだ医師を地方に流す」という方法になります。

開業規制は「医師が多い地域での新規開業を禁止→医師が比較的少ない地域に開業医が流れる」ということを想定しているんだね。
更紗
管理者要件の拡大は「院長志望者を地方病院に送り込み、地方の医師不足を緩和させる」というものですね。これって新専門医制度でも問題になっていたのに、また出てくるとは(汗)。

【管理者要件の拡大】新専門医制度の炎上騒動が再燃?

新専門医制度では、専攻医の研修に基幹病院と連携病院(おそらく地方病院)のローテーションが含まれていることについて、

「地方の医師不足・医師の偏在の解決策として、専門医制度を流用するな」

「子育て世代のキャリア形成を阻害している」

など激しい非難が巻き起こっていました。

若手に限らず、自由で多様な働き方を望む医師が年々増えていると感じます。

特にどこで働くか・生活するかということは、自身のみならず家族の幸福度にとっても非常に重要なポイントです。

今回の「管理者要件の拡大」においても、新専門医制度と同様の炎上騒動が起こらないか心配ですね。

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【管理者要件の拡大】対象者は比較的高齢の医師

とはいえ、今回の「管理者要件の拡大」の対象者は院長志望者なので、比較的高齢の医師であることが予想されます。

厚生労働省は「高齢の医師なら、子どもが十分に大きくなっていて単身赴任しやすいだろう」と考えているのかもしれませんね。

しかし高齢の医師は体力が落ちているので、何でもかんでもお願いすることはできません。

例えば「残業なし」「当直・休日の日直なし」などの労働条件を整えないと、勤務継続は困難になることでしょう。

「義務年限を終える前に元の医療機関に戻ってしまった」となると、元の医療機関からしても貴重な院長候補者を失うわけですから、由々しき事態です。

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【管理者要件の拡大】対象者の専門性と実務内容に乖離

また私は、院長志望者の専門性と、地方病院で求められる実務内容に大きな乖離が生じる可能性を危惧します。

例えば、地方病院では「内科」「外科」といった大枠で何でも診てくれる医師を強く求めているはずです。

しかし、その院長志望者がマイナー科の高い専門性を持つ医師であったら、どうでしょう。

「皮膚科専門なのに地方病院で内科をやらされる」ということが起こり得ます。

それは院長志望者のみならず、その地方病院や患者さんにとっても、良いこととは言えないのではないでしょうか?

更紗
この辺りは、「診療科の偏在」にも関わってくるところですね。次の記事は「診療科の偏在」問題について考える予定ですので、お楽しみに!
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【管理者要件の拡大】医師少数区域等で勤務した医師の認定制度

現在、「医師少数区域等で勤務した医師に対する認定制度」というものが検討されています。

まだ情報が少ないので「管理者要件=認定医師であること」となるのかどうかは分からないのですが、

大分類似した内容なので、ここでご説明します。

こちらの認定制度は、「医師少数区域等に一定期間(6ヶ月以上)勤務し、その中で必要な業務を行った者を、厚生労働大臣が認定する」というものです。(※2020年度以降の勤務であり、初期臨床研修期間を除く)

認定に必要な業務内容は下記の通り。

<認定に必要な業務内容>

  1. 個々の患者の生活状況を考慮し、幅広い病態に対応する継続的な診療及び保健指導(患者の専門的な医療機関への受診の必要性の判断を含む。)
    ・地域の患者への継続的な診療
    ・診療時間外の患者の急変時の対応
    ・在宅医療 等
  2. 他の医療機関や、介護・福祉事業者者等との連携
    ・地域ケア会議や退院カンファレンス等への参加 等
  3. 地域住民に対する健康診査や保健指導等の地域保健活動
    ・健康診査や保健指導等の実施 等

認定医師等に対するインセンティブは次のようなものです。

<認定医師等に対するインセンティブ>

  • 地域医療支援病院の管理者は、認定医師でなければならないこととする。
  • 認定医師が医師少数区域等で診療を実施する際の医療レベルの向上・取得している資格等の維持に係る経費(研修受講料、旅費等)について支援を行う。
地域医療支援病院の管理者になりたい人、医師少数区域等で診療したい人には認定を受けるメリットがあるけど…。
更紗
都市部で働きたい人からすると、認定を受ける必要はなさそうですよね。

【管理者要件の拡大】医師の移住可能性が最初から断たれている

院長志望者の義務年限はまだ公表されていませんが、数年間地方病院で勤務するとして、

その後必ず元の医療機関に帰っていくことが約束されているわけですよね。

元の医療機関の院長になるために地方に来たわけですから。

仕方ないことだけど、結局、その地方病院にとっては一時しのぎの対策なんだよね。
更紗
「数年間働いて気に入ったから、この地方に移り住む」という可能性が最初から絶たれているのが残念ですよね。

本来であれば、「医師が自らの希望で地方で働く」のが最も望ましいはず。

そのための環境を地方に用意できなければ、その地方に「医師を根付かせる」ことは不可能です。

そう、地方も「医師に選ばれる」努力が必要ということです。

ふるさと納税と同じですね。

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【医師の偏在】地域の偏在〜新提案「ワーケーション」とは?

地方も「医師に選ばれる」努力が必要…なんてただの理想論だと思いますか?

ところがどっこい、「医師のワーケーション」に取り組んでいる地方自治体がニュースになっていました。

この記事では、和歌山県白浜町の取り組みが紹介されています。

NHKニュース

【NHK】「常勤医が足りません」各地の医療機関から聞こえてくる切実な声。けれど、補助金を出しても、思うように医師が来ない…

ワーケーションとは、「Work」と「Vacation」を組み合わせた造語で、旅行先や帰省先などで余暇を楽しみながら仕事もする、という働き方のこと。

コロナ禍でリモートワークが推進された時も注目された働き方なので、ご存じの方も多いことでしょう。

ちなみに和歌山県白浜町のワーケーションは、医療情報サービス企業「MRT」と和歌山県が協力して始めたもの。

このワーケーションに申し込むと、下記のような補助がついてくるとのことです。

<ワーケーションの内容>

  • 和歌山県南部での余暇を楽しむ観光商品
  • 病院で非常勤で働く仕事

<和歌山県による補助>

  • 医師本人の宿泊費:2万円/日
  • 交通費:5万2000円/回
  • レンタカー代:7000円/日

この記事で取材されている救急医の眞鍋先生は、下記のように過ごされていました。

7月4日:妻・子と現地入り→テーマパークの「アドベンチャーワールド」観光

7月5日:日中はホテルでのんびり→18時から現地の病院で当直

7月6日:朝8時半まで勤務

家族サービスもできていいよね〜。仕事ばっかりしていると家族に不満が溜まっちゃいそうだけど、これなら家族も喜んでくれるね!
更紗
私は家族と一緒に観光しちゃったら、きっと「私だけ仕事行きたくない!」「家族と一緒にいたい!」とごねたくなります(笑)。

いきなり常勤でなくとも、スポットバイトでも地方で働いてもらう・その地方に良い印象を抱いてもらうということができれば、

その後その地方に定期的に勤務に来てもらえるようになったり、

本格的に移住して常勤として働く医師が出てくるかもしれませんよね。

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まとめ ワーケーションは医師の「地域の偏在」対策になるか

「地域の偏在」の現状、国の対策、「医師のワーケーション」について見てきました。

医師の「地域の偏在」問題は国が主導で解決していかなければならないことではありますが、

医療機関の再編などの対策も必要不可欠で、「地域の偏在」解決にはまだまだ途方もない時間とお金がかかります。

私は「国が何とかしてくれるのを待つ」のではなく、医師不足に苦しむ地方自ら動き出すべきだと思います。

私は今回、地方自治体と民間企業がコラボした取り組み「医師のワーケーション」に、強い感銘を受けました。

もちろん全ての地方自治体がこのようなことができるわけではなく、

「観光資源なんかない」「補助金を出す余裕すらない」地方もあることでしょう。

ですが、同じような内容ではなくても、その地方ならではの魅力というのは必ずあります。

人によっては、観光よりも「地元の美味しいご飯屋さん巡りをしたい」「地元の名産品をもらえたらそれだけで嬉しい」という方もいるはず。

もし「医師のワーケーション」が浸透したら、国から地方自治体に補助が下りる可能性も高まります。

医師の「地域の偏在」はまだまだ根深い問題がありますが、

国・地方自治体・全国の医療機関・全国の医師がこの問題を真剣に考え、

解決に向けてあらゆる取り組みを模索していく必要があると考えます。

働き方に悩んでいる臨床医の皆さんも、もしご興味があったら「医師のワーケーション」に申し込んでみてはいかがでしょうか?

地域医療に貢献するのみならず、ご自身の働き方・生き方を見つめ直すきっかけになると思います。

では、また!

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